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歯の再植・移植

 

1、歯の再植並びに移植

 病巣が大きすぎて通常の根管治療(根の治療)では治せない場合がありま
す。この時我々は外科的な処置行います。

 このような場合、歯ぐきを切って骨を削ることによって悪い部分を取り除
く方法(歯根端切除術)が一般的ですが、場所によっては、特に奥歯(臼歯部)
ではこの方法は困難で不可能な場合が多々あります。

 このような場合、一度歯を抜いて、悪い部分を取り除き再度植立する、す
なわち再植という方法があります。これを応用したのが、歯の無い部分に親
知らず等の噛み合わせに関係しないような歯を抜いて持ってくる方法で歯
の移植です。


◎下の写真は歯を移植した1例です。レントゲンAの赤丸部分の埋伏した親知
らずを抜いて、黄丸の歯根ハセツを起こしている下顎小臼歯部へと移植しま
した。緑丸の根尖病巣(根の周囲の暗い部分)が根管治療によって治癒され
てもいます。(レントゲンB)

レントゲン A



レントゲン B


下の写真の青丸は移植されて、きれいに根付いた状態の親知らずです。





◎下の写真はぶつけて前歯が斜めに折れ、唇側の歯茎がえぐれてしまう状
態になるので、今後の審美面と清掃性の改善を目的として、歯を一度抜いて
表裏を逆にして再植した一例です。


来院された時のレントゲン写真


A、この向きに折れていた一度歯抜き    B、裏側に180度回転


C、再植した直後                D、約2ヵ月後


    E、再植して1週間後          D、再植して約2ヵ月後




2、インプラント(人工歯根)治療っていいのか?

 インプラント治療とは、
 歯科におけるインプラント治療とは、簡単に言うと歯のない部分に主にチ
タン製の釘を打ち込み、これを人工歯根と称して、その上に実際に噛めるよ
う上部構造を作製し、失われた噛みあわせを復元する療法です。

 ◎長所
 インプラント上に取り外し可能な入れ歯を作製する場合もあり、これだけ
でも普通の入れ歯と違い、簡単に外れることなく、食べる際の力が直接顎に
伝わるので食感も良くなるといった利点がありますが、現在の療法の主流
は、固定性の上部構造を作製することにより、取り外すことの無い利便性や、
食感が良くなる機能性、そして何よりも健康な口腔状態に見間違うような審
美的回復を行うことができます。
 
 ●問題点
 簡単に言うとこの治療法は皮膚の上から骨の中にクギを打ちこむような
もので、インプラント本体と骨とはオステオ・インテグレーション(骨との嵌入
結合)という関係で結合し、これがインプラント体が顎から外れない理由で
す。

 しかしながら、軟組織、特に歯肉との関係においては、常に細菌が組織学的
に接着機構の無い金属と歯肉(上皮組織)との間に存在することから、更に
生体内部へと進入する危険性が付きまといます。本来、歯の周囲には、周囲
組織と歯とが接着する生体バリア機能があるので簡単に細菌は骨にまで到
達することができません。これは爪と皮膚との関係とほぼ同じで、深爪をす
ると痛いということを思い出してください。細菌によって炎症が骨にまで到
達して、骨が破壊されていく状態が重度の歯周病(歯槽膿漏)なのです。イン
プラントの周囲はまさに上記と同じような状態であると考えられます。

 インプラントの5年成功率は50%位との研究報告もありますが、もともと
歯を失う人の多くは口腔内の清掃状態が悪い結果、歯周病により歯を失う
ので、清掃ができない人にインプラントを行なえば失敗するのは当然です。

 ブラッシングを丁寧に行い、定期的に歯科医にかかる事によって、急性炎
症の危険性は低くなります。しかしながら、いくら丁寧に磨いても体の免疫状
態が悪くなった場合に突然強い炎症が発症することが多く見受けられます。
骨への細菌感染による急性炎症は重篤な症状を示す場合が多いのも事実で
す。

 また、先述した通り、症状が無くとも慢性的な炎症状態がインプラント周囲
において常に存在していることが考慮され、このような状態は身体の他の臓
器に影響を与える危険性が大いに示唆されます。

 近年、慢性的な炎症状態を呈する歯周病により惹起される病気が数多く
報告されており、歯周病と糖尿病との関連性もその一例です。歯周病とは、
細菌感染により引き起こされた慢性炎症によって歯の周囲組織が破壊され
ていく病気ですが、近年、重篤な歯周病が血糖値を上昇させる一因となる場
合があり、原因となる歯石の除去とブラッシングによる歯グキの状態改善に
よって血糖値が正常に近づくという研究報告がなされています。さらに深刻
な例として、慢性炎症の主原因である歯周病菌が血管内に入って敗血症を
起こしたり、心内膜炎や心筋梗塞などの循環器疾患の原因になるという報
告や脳梗塞の原因になりうる疑いも考慮されます。最新の報告では歯周病
菌とバージャー病との因果関係についても述べられています。
 
 インプラント周囲の細菌叢は歯周病原因菌と同種の細菌により構成されて
いる事からも、インプラントの植立は人工的な歯周病を作り出しているといっ
ても過言ではないと私は考えています。

 ※結論
 私はインプラント治療を完全に否定するつもりはありません。失った噛み合
わせを入れ歯でなくとも復元できるのですから、利便性や生活の質という
点から考えるとすばらしい方法であると思っています。

 但し、その結果、身体に重篤な悪影響が生じてしまえば元も子もありませ
ん。十分な知識と説明によりご本人が納得した上で治療を受ける必要があり
ます。

 当院ではインプラント治療は行っていません。あしからずご了承ください。
 
 

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